提言56: 【緊急提言6】 学校における食育の推進・充実と安全な給食

− 食物アレルギーに対する教職員の危機意識を高めよう −   (2013/3/6 記)  

 我が国は戦後の高度成長により国民の生活水準が著しく向上し、かつての食糧難と言われた時代から、食べ残しや食品廃棄物の増大が問題となるような、いわゆる「飽食」の時代を迎えた。このような状況の中で、偏った栄養摂取や朝食欠食、食生活の乱れや肥満・痩身志向等、児童生徒の健康を取り巻く問題が深刻化している。
 こうした現状を踏まえ、文部科学省は、平成17年7月に食育基本法、平成18年3月に食育推進基本計画を制定した。これを受けて、地方自治体においても、平成18年11月〜24年3月までに「食育推進計画」を策定した。
 児童生徒が食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう、学校においても積極的に食育に取り組んでいくことが重要となったからである。
 ところが、平成24年12月20日、東京都調布市の小学校で、食物アレルギーを有する児童が、給食終了後に亡くなるという事故が起きた。死因はアナフィラキシーショックの可能性が高いようである。この学校では9月下旬にも卵にアレルギーのある1年生の児童がアレルギー反応を起こし、救急車で病院に搬送されていた。
 平成25年1月26日、読売新聞は、調布市教育委員会の調査結果に基づいて、「確認表のX印見逃す」「遅れた『自己注射薬』」等の記事を報じた。 
 調布市は、検証委員会を設置しており、2月中旬をめどに、徹底した原因究明を図るべく、調査を継続している。 
 児童生徒の生命を守るには、学校給食の安全を図るとともに、食物アレルギーに対する教職員の危機意識を高めておくことが重要である。

1. 学校給食のはじまりと、その後の経緯
 日本最初の学校給食は、明治22年山形県鶴岡町(現鶴岡市)の私立忠愛小学校だと言われている。貧困児童を対象にし、昼食を与えたのが学校給食の始まりのようである。
 その後、各地で一部の児童に対して、欠食児童対策としてパン等が一部の学校で配られるようになった。
 昭和7年、文部省訓令第18号「学校給食臨時施設方法」が定められ、はじめて国庫補助による貧困児童救済のための学校給食が実施されるようになった。しかし、昭和18年頃、食糧事情悪化のために中断された。戦後の学校給食に関する状況は下記の通りである。
 ● 昭和21年12月11日、文部・厚生・農林 三省次官通達「学校給食実施の奨励」が出され、戦後の学校給食の方針が定まった。そして、12月24日に東京・神奈川・千葉で試験学校給食が開始された。 
 ● 昭和22年1月20日、全国都市の児童約300万に対して、学校給食が始まった。アメリカから無償で与えられた脱脂粉乳が使われた。
 ● 昭和24年10月、ユニセフから脱脂粉乳の寄贈を受け、ユニセフ給食が開始した。 
 ● 昭和25年7月、8大都市の児童に対して、米国寄贈の小麦粉により初めて完全給食が実施された。
 ● 昭和29年6月3日、第19国会で「学校給食法」が成立し公布された。同年中に学校給食法施行令、施行規則、実施基準等も定められ、学校給食法の実施体制が法的に整った。給食法が施行され、給食は教育の一環として、食事についての正しい理解や望ましい習慣を育み、学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うこと等を目的に、全  国で行われるようになった。
 ● その後、「学校給食用牛乳取り扱い要領の通知」や「体育局長通知」等が出され、学校給食の充実が図られてきた。

2. 食育の推進について
 (2-1)食育基本法 
 平成17年6月に食育基本法が成立・公布された。(同年7月施行)
 食育基本法の中では、「食育」について次のように記述されている。
  Œ 生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの。
  A 様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食  生活を実践することができる人間を育てること。
 食育基本法では、国は食育の推進にかかる基本方針を定め、地方自治体は基本方針に沿って食育の推進に関わる計画を策定することができる規定が設けられた。 
 また、「食育」は単に、健康に暮らすために食べるということに止まらず、食を通じたコミュニケーション、食への感謝、環境との調和、食文化の尊重等、幅広い要素から成り立っている。
 (2-2)食育推進基本計画
 食育推進基本計画は、食育基本法に基づき、食育の推進に関する施策の計画的な推進を図るため、基本的な方針や目標について定めたものである。
 平成18年3月に決定された最初の計画期間が平成22年度末に終了し、今回新たに平成23年度から27年度までの5カ年を期間とする「第2次食育推進基本計画」が定められた。

3. 第2次食育推進基本計画の概要
 第2次食育推進基本計画のコンセプトは、「『周知』から『実践』へ」である。そして、「食育の推進に関する施策についての基本的な方針」として、3つの重点課題と7つの基本的な取組方針、食育推進の目標、食育の総合的な推進が示された。 
 (3-1)重点課題
  Œ 生涯にわたるライフステージに応じた間断ない食育の推進
   生活習慣病の予防及び改善につながる食育の推進
  Ž 家庭における共食を通じた子どもへの食育の推進
 (3-2)基本的な取組方針
  Œ 国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成  
   食に関する感謝の念と理解  
  Ž 食育推進運動の展開
   子どもの食育における保護者、教育関係者等の役割
   食に関する体験活動と食育推進活動の実践  
   我が国の伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配慮及び農山漁村の活性化と食料自給率の向上への貢献
   食品の安全性の確保等における食育の役割  
 (3-3)食育推進の目標
 食育の推進の目標に関しては、「学校給食における地場産物を使用する割合の増加(現状値26.1%→目標値30%以上」というように、各目標を現状値から平成27年度までの達成目標を数値で示している。
 (3-4)食育の総合的な推進
  Œ 家庭・学校・地域における食育の推進
   食育推進運動の展開
  Ž 生産者と消費者との交流の促進
   食品の安全性、栄養その他の食生活に関する調査研究 
   食文化の継承のための稼働への支援

4. 食物アレルギーを有する児童生徒の増加
 文部科学省の調査(平成16年現在)によると、全国の小・中・高校生のアナフィラキシー患者は約1万8000人である。 
 平成23年3月、独立行政法人日本スポーツ振興センター学校災害防止調査研究委員会の「調査研究報告書 −学校の管理下における食物アレルギーへの対応−」には、「学校の管理下における食に関する災害事例のうち学校給食における食物アレルギー事例件数が、平成17年度から20年度まで804件発生。学校給食における食物アレルギーの災害事例のうち、死亡事故につながる重篤なアナフィラキシー事例が多数。」と報告されている。
 このように、近年、生活環境や食生活の変化に伴い、食物アレルギーを有する児童生徒が増加し、全国各地において、学校給食による食物アレルギーを要因とする事故が多発している。
 食物アレルギーは、生命に関わる疾患である。教職員の緊急時の対応や児童生徒のアレルギー症状の予防など、食物アレルギーに関する対応策を十分に講じておかなければ、児童生徒の安全確保は難しい。

5. 学校の管理下における食物アレルギーへの対応
 学校の危機管理は、災害に対するものだけではない。食物アレルギーによる死亡事故、部活での児童生徒の怪我、教職員による体罰、交通事故等、様々な事件や事故を学校の危機管理として捉えておかなければならない。 
 特定の児童生徒に生じる食物アレルギーによる健康障害には、軽度のものから生命に関わる重篤なものまで多種多様である。食物アレルギーの中で最も重篤で生命の危険を伴うことのある「アナフィラキシー」の対応については、教育委員会、学校、家庭において、十分に配慮しておくことが重要である。
 学校給食は、成長期にある児童生徒の心身の健全な発達や、「食の大切さ」「食事の楽しさ」等を理解するための食育としての役割を担っている。したがって、食物アレルギーを有する児童生徒も他の児童生徒と同様に学校給食を楽しむことができるよう、食物アレルギー対応の充実を図ることが求められている。
 学校では、児童生徒が食物アレルギーの正しい知識と対応を身に付ける指導の徹底を図らなければならない。また、食物アレルギーのある児童生徒の視点に立った取り組みを推進することが必要である。 
 (5-1)食物アレルギーとは
 一般的には特定の食物を摂取することによって、皮膚・呼吸器・消化器あるいは全身に生じるアレルギー反応のことを言う。食物アレルギーを起こす原因食物は多岐にわたる。 児童生徒では、鶏卵と乳製品だけで全体の約半数を占める。また、給食で起きた食物アレルギー発症事例の原因食物は、甲殻類(エビ、カニ)や果物類(特にキウイフルーツ)が多くなっている。
 (5-2)アナフィラキシーとは
 アレルギー反応により、じんましん等の皮膚症状、腹痛や嘔吐等の消化器症状、呼吸困難に及ぶ呼吸器症状等が、複数同時にかつ急激に出現した状態をアナフィラキシーと言う。その中でも、血圧が低下して意識の低下や脱力を来すような場合を、特に、アナフィラキシーショックと呼び、直ちに対応しないと生命にかかわる重篤な状態になる。
 (5-3)アナフィラキシーショックが起きたら
 平成25年1月26日、読売新聞は、昨年12月20日に東京都調布市の小学校で起きた事故の状況を「…その後、養護教諭が駆けつけて救急車を要請。女児は立てない状態で、約10分後に校長がエピペンを打ったが、間もなく到着した救急隊員から『心肺停止』を告げられた」と報じた。また、同じ紙面で、「食物アレルギーに詳しい昭和大医学部の今井孝成講師はエピペンについて、『呼吸困難などの重い症状が出たら迅速に注射すべきだ。副作用は小さいので、迷ったら打て、と言いたい』と指摘。今井講師は『児童100人に2人程度の割合で食物アレルギー患者がおり、どこの学校で事故が起きてもおかしくない』と注意を呼びかけている。」と報じた。 
 このように、学校で実際に事故が起きた場合、具体的に何をどのような手順でどうすべきか、学校の危機管理として、そのマニュアルを早急に作り上げておくとが必要である。
 (5-4)エピペン注射
 エピペンは、食物や薬物等によるアレルギーを治療する薬剤ではなく、アナフィラキシーの症状を緩和するために、自己注射する補助治療剤である。エピペンには、アナフィラキシー発現時の治療に用いられるアドレナリンの薬液と注射針が内蔵されている。
 オレンジや黒色の先端を太ももの外側に強く押し付けるだけで、バネの力により一定量(約0.3mg)の薬液が筋肉内に注射されるしくみになっている。 
 アナフィラキシーを起こす食物アレルギーの児童生徒を抱える学校では、エピペンを常備し、アナフィラキシー発症の際には、医療機関へ搬送されるまでの症状の悪化防止に役立ってるようにすることが必要である。
 平成20年4月25日、文部科学省は、学校がアレルギー疾患の児童生徒にどう対応すべきかをまとめたガイドラインを公表した。そして、食べ物等が原因で起きる急性アレルギー反応「アナフィラキシーショック」に対処する自己注射を、本人に代わって教職員らが打つことは医師法に違反しないとする初めての見解を示した。

  
引用画像:「Google画像」

 エピペン注射は2種類あるが、これはアドレナリンの濃度の違いである。大よそ、0.15mgのものは体重15kg未満、0.3mgのものは体重30kg以上のアレルギー体質の人に処方する。

6. 食物アレルギー対応マニュアルの作成
 平成24年12月26日、文部科学省は、各都道府県教育委員会学校給食主管課等宛に、「学校給食における食物アレルギー等を有する児童生徒等への対応等について」の事務連絡を出した。その内容は、「食物アレルギー等を有する児童生徒等に対しては、校内において校長、学級担任、養護教諭、栄養教諭、学校医等による指導体制を整備し、保護者や主治医との連携を図りつつ、可能な限り、個々の児童生徒等の状況に応じた対応に努める」と記述されている。
 学校では、食物アレルギー等に対する指導や食物アレルギー等を有する児童生徒への対応について、指導体制を確立しておかなければならない。 
 学校において「食に関する全体計画」は、文部科学省が作成した「食に関する指導の手引 −第1次改訂版 −」(平成22年3月)に基づいて、作成することが重要である。その手引きは、各学校に2部ずつ配布されているので活用が求められている。

 (6-1)食物アレルギー対応委員会の設置と管理体制の整備
 校長の指導のもと、食物アレルギー対応が必要な児童生徒のために、関係教職員等で学校の実情に応じた「食物アレルギー対応委員会」を組織することが必要である。 
 委員会の構成は、校長、副校長、学級担任、養護教諭、給食主任、栄養教諭、学校医等とし、指導体制を確立するとともに、各自の役割を明確にしておくことが重要である。
 食物アレルギー対応委員会の開催は定例化し、対象児童生徒の状況把握、食物アレルギーやアナフィラキシーショック等が起きた場合の対処方法や問題点を常に検討し、情報を共有化し、事故が起きた場合、迅速に対応できるようにしておかなければならない。

 (6-2)食物アレルギーを有する児童生徒の実態把握
 食物アレルギーを有する児童生徒は、アレルギー原因食品や症状の程度が一人一人異なる。そのため、全児童生徒を対象に「食物アレルギー調査」を、先ず実施することが必要である。
 Œ 就学時健康診断等での把握 
 就学時健康診断実施の通知の際、「食物アレルギーに関する調査票」「同意書」「診断書兼学校管理指導書(アレルギー疾患用:医師の診断による証明・押印が必要)」等を、保護者へ配布し、就学時健康診断時に提出するよう依頼する。 
 上記の「食物アレルギーに関する調査票」等の書類は、普通は教育委員会で作成し、学校を通して保護者へ配布することになっている。教育委員会から学校に配布されない場合は、学校で作成することになる。その場合、関係教育委員会に問い合わせれば、調査票等の書式は分かるはずである。地方自治体は国の方針に基づいて、「食育推進基本計画」を策定することになっているからである。また、日本学校保健会が作成した「学校のアレルギー疾患に対する取組ガイドライン(平成20年出版)」も活用するようにしたい。
  幼稚園・保育園等からの情報収集
 必要に応じ、入学前に幼稚園・保育園での具体的な対応方法について保護者からの同意を得たうえで情報収集に努める。 
 Ž 在校生の場合
 児童生徒のアレルギー体質は、成長によって変わる場合がある。したがって、在校生であっても年度当初に、児童生徒のアレルギーの有無を、「食物アレルギーに関する調査票」等によって確認をしなければならない。必要に応じ、学級担任、養護教諭、栄養教諭と共に、保護者との面談を行い、学校給食での対応について協議をすることが重要である。

 (6-3)食物アレルギーを有する児童生徒の保護者との面談
 食物アレルギーがあると回答した児童生徒の保護者との個別面談は、必ず実施しなければならない。面談を通して、アレルギーに関する具体的な情報や保護者の希望を把握するとともに、学校の状況も保護者に理解してもらうようにする。
 児童生徒の食物アレルギーについては、主治医や学校医の診断書に基づいて正確に把握しておくことが最も重要である。

 (6-4)食物アレルギー対応食
 学校給食での食物アレルギー対応食の基本的な実施方法は、医師の診断を基に、必要に応じて保護者との面談を実施することが重要である。児童生徒の健康状況、給食施設の諸条件(「学校の調理室」、「区・市・町・村等の給食センター」、「民間委託」)等を勘案したうえで決定するようにする。
 食物アレルギー対応食については、下記の方法があるが、児童生徒一人一人の症状に応じて、また、心身の成長に併せて適切な対応が必要である。
 Œ 除去食 
 調理の段階や調理後に、アレルギーの原因食品を取り除いた料理を提供する。したが って、栄養教諭や調理師を交えた協議を必要に応じて行うようにする。
  代替食
 除去により不足した栄養を補うために、別の食品を使用した料理を提供する。その際、 栄養価や見た目にできる限り差が出ないよう、使用食品や調理方法を検討する。また、 加工食品を使用する際は、原材料にアレルギー原因食品が含まれていないかどうかを確 認して提供する。

 (6-5)アレルギー対象の食品を確認
 平成25年1月26日、読売新聞は、東京都調布市の小学校の事故につて、「担任教諭は女児が保護者から渡された献立表の食べられない料理にピンクの線が引かれていたが、『じゃがいものチヂミ』には線がなかったため、担任はお代わりを渡してしまった。しかし、栄養教諭から渡された『除去食一覧書』には、『じゃがいものチヂミ』はお代わりができないため×で示されていた。」と報道している。担任教諭のチェックが不十分であったと言わざるを得ない。 
 このようなことから、保護者と栄養教諭等が毎月、給食のアレルギー対象の食品を確認し、アレルギーを有する児童生徒が食べられない食品には×印をつけた「除去食一覧書」を、全教職員に配布し注意を促すことが重要である。また、アレルギーを有する児童生徒を担任している教員には、特に、お代わりを求める児童生徒に対して「除去食一覧書」をチェックし、それに基づいた指導の徹底を図っていかなければならない。

 (6-6) 緊急時の対応
 食物アレルギー発症、特にアナフィラキシーショック等重い症状を発症した場合には、主治医、学校医や保護者と連絡を取り、緊急に医療機関を受診するよう迅速に対応する。 アナフィラキシーショックを一度でも発症したことがある場合は、より迅速な判断と処置が必要となるので、アナフィラキシーショックの有無、保護者との緊急時の連絡方法、主治医や搬送する医療機関等の情報を事前に把握する等緊急時を想定した体制を整備しておくことが最も重要である。緊急時には下記の点について留意して対応すべきだ。 
 Œ 対応方法
 食物アレルギー反応には段階があるので、それぞれの基本的な症状と対処法を把握し、 児童生徒の状態を観察しつつ迅速に対応する。該当の児童生徒から目を離さず、症状の 急激な変化にも最大限注意する。
  指揮系統
 保護者・主治医(学校医)・医療機関への連絡、校内・調理室への対応、周囲の児童生徒の指導等、役割分担や指揮系統も明確にし、迅速に対応できる体制を確立しておく。
 Ž 該当児童生徒への対応
 該当児童生徒と接する教職員は、児童生徒の健康状態を観察し、精神的な面に配慮し ながら、不安や動揺を与えないように冷静に対応する。 
  周囲の児童生徒への対応
 周囲の児童生徒には、不安や動揺を与えないように冷静に対応する。日頃より、食物 アレルギーを含めてアレルギーに対する理解を深めるよう、アレルギーを有する児童生 徒に配慮した指導をする。
  医師との連携
 食物アレルギーの対応は、主治医や学校医に指導助言を受ける等、可能な限り連絡体 制を整え、緊急時に支障を来さないように努める。
  教職員の役割 
 食物アレルギーの対応のために、それぞれの職務に応じて、連携を図りながら組織全 体で対応することが重要である。また、「食物アレルギーに関する調査票」「同意書」「診断書兼学校管理指導書(アレルギー疾患用)や「エピペン注射」の保管含めた管理については、管理責任者を定めて対応するようにする。しかし、「エピペン注射」の保管庫の場所は、全教職員が周知し、緊急事態には備えなければならない。また、「アナフィラキシーショック」に対処する自己注射を、本人に代わって教職員が打つことができるようにしておくことも必要である。
  事後処理での危機管理
 事件や事故に対しての対応がまずければ、報道機関や市民団体や住民が抗議の対象にするものもある。記事、投書、抗議、ビラ、面会強要、訴訟等多様な方法がとられている。これらはすべて学校にとっての危機である。
 事件や事故が起きた場合、素早く対応し、危機を最小限にするための事後処理的危機管理についても確立しておくことも重要である。
以 上   

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