提言92: 「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)」を環境教育に生かそう!
 
 COPはConference of Partiesの略で、広く「締約国会議」という意味である。多くの国際条約の中で、加盟国が物事を決定する最高決定機関として設置された。それらの中で、最も重視されてきたのは、1992(平成4)年の地球サミットで採択された「国連気候変動枠組条約締約国会議」である。「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)」の他に、「生物多様性条約国会議(COP)〈注1〉」や「ラムサール条約国会議(COP)〈注2〉」などがある。
 地球温暖化問題が国際交渉の場で議論され始めたのは、1980(昭和55)年代の終わり頃からである。国連気候変動枠組条約は1992(平成4)年に採択され、1994(平成6)年に発効した。
 この条約の目的は、先進国は2000年までに「温室効果ガス(CO2、メタン、亜酸化窒素、ハイドロフルオロカーボンなど)の排出量を安定化させるということである。しかし、この条約では具体的な数値目標は掲げられなかった。具体的な数値目標と罰則規定がなかったため、温室効果ガス(CO2等)の排出量の安定化を達成できる見込みはなかったが、地球温暖化の科学的な研究が進み、その影響が明らかにされる中で、国際政治が大きく動きはじめた。
 大きな転機は、1997(平成9)年、京都で開催されたCOP3である。
 2020(平成32)年以降の世界の温暖化対策を決めるCOP21は、2015(平成27)年11月パリで開催され、10日あまりの議論を経て12月12日夜、2020(平成32)年からの新たな国際枠組みとなる「パリ協定」が採決された。
 パリ協定に基づいて、日本もCO2等の削減目標を決め、その達成を図っていかなければならない。一方、学校教育においては、「京都議定書」や「パリ協定」を環境教育に組み込み生かしていくことが必要と考える。このことについて筆者の見解を述べてみたい。
 1 地球温暖化を巡る国際交渉
 1994(平成6)年現在、180か国以上が参加しているCO2等の濃度を安定化させるための締約国は、差異はあっても共通の責任を果たすという考えに基づき、先進国などは2000(平成12)年代までにCO2等の排出量を1990(平成2)年レベルに安定化させるなどの約束を課した。
 (1)国際交渉4つのステージ
kyougi     左図は、NPO法人気候ネットワーク理事 平田仁子氏が作成した「国際交渉の4つのステージ」からの引用である。     
 左図が示すように、国際交渉の第1ステージは、「条約の策定交渉」である。地球温暖化防止のために、1990(平成2)から会議が開始され、1992(平成4)年6月ブラジルの リオ・デ・ジャネイロで開催された地球環境サミットで、「国連気候変動枠組条約(COP)」が締結した。
   1995(平成7)年、ドイツのベルリンでCOP1が開催された。1995(平成7)年以降の排出量に関する今後の話し合いの出発点、及び条約の諸規定を機能させるために必要な根本的なルールづくりなど、2つの重要な会議となった。しかし、途上国は条約に定めた2000(平成12)年までに1990(平成2)年の水準に戻すことは、多くの先進国で達成できていないことを指摘した。また、小島嶼国連合は自らの議定書案を交渉のたたき台として議定書交渉を早期に開始するよう主張した。さらに、多くの途上国は、先進国だけが対策を強化すべきであり、気候変動の責任を途上国に求めるべきでないと強調するなど、前途多難なスタートになった。
 第2ステージは、「京都議議定書の策定交渉」である。1997(平成9)年11月、京都で開催されたCOP3において、「京都議定書」が採択された。京都議定書第1約束期間(2008〜2012年)の5年間に、先進国のCO2等総排出量を1990年から少なくとも約5%を削減するという義務が定められた。
 第3ステージは、「2013〜20年の枠組み交渉」である。2005(平成17)年2月、「京都議定書」が発効してから8年目を迎えた。2013年は、京都議定書の第1次約束期間から第2約束期間へと移行していく節目の年である。
 2013(平成25)年以降の枠組みについて、2010(平成22)年12月にメキシコのカンクンで開催された16回締約国会議(COP16)で自主目標が採択された。
 第4ステージは、「2020年以降の枠組み交渉」ある。2015(平成27)年11月パリで開催され10日あまりの議論を経て、12月12日夜、2020(平成32)年からの新たな国際枠組みとなる「パリ協定」が採決された。
 (2)COP11/CMP1〜COP20/CMP10までの経緯  
kyougi   
上記の図は、NPO法人気候ネットワーク理事 平田仁子氏が作成(2014年9月)した「長く続く2013年以降の国際交流」からの引用である。?CMP(注3)、ADP(注4)、AWG(注5)
 @ COP11・CMP1が2005(平成17)年、カナダのモントリオールで開催された。この会議では、京都議定書の第2約束期間の交渉が開始された。
 A COP12・CMP2が2006(平成18)年、ケニアのナイロビで開催された。議題はCOP11・CMP2 で合意された2013年以降の次期枠組みに向けたロードマップ(注6)の作成であった。
 B COP13・CMP3が2007(平成19)年、インドネシアのバリ島でCOP13・CMP3が開催された。この会議では、全ての国を含む取組みの交渉開始、いわゆる「バリ行動計画」がスタートした。多くの国の参加者からクリーン開発メカニズムの強化を含む炭素市場発展の必要性  が指摘された他、途上国の気候変動対策を支援するための国際的資金拡充の必要性が指摘されたことは、今後の取組に意義があったと考えられる。 
 C COP14・CMP4が2008(平成20)年、ポーランドのポズナニで開催された。「京都議定書  の第1約束期間」が始まった。
 D COP15・CMP5が2009(平成21)年デンマーク・コペンハーゲンで開催された。この会議 には、192カ国・地域から約4万人が参加した。114か国と1地域(EU)から各国の首脳級 が集まり、初の首脳による会議が行われた。しかし、2013(平成25)年からの次期枠組みの合意は不調に終わった。
 E COP16・CMP6が2010(平成22)年メキシコのカンクンで開催された。京都議定書の延長 を求める途上国の主張と、現行の議定書には参加していないアメリカや中国など、全ての国 に削減義務を求める考え方とが真っ向から対立した。
 F COP17・CMP7が2011(平成23)年、南アフリカのダーバンで開催された。京都議定書第1約束期間が切れる2013年以降の枠組みを決める具体的な議論がされた。
 G COP18・CMP8が2012(平成24)年、カタールのドーハで開催された。2013(平成25)年 から始まる「京都議定書第2約束期間」に参加する国の排出量削減目標や、議定書に参加を見合わせた米国や中国も含め、2020(平成32)年以降にスタートさせる新たな枠組みの議論を交わした。
 H COP19・CMP9が2013(平成25)年、ポーランドのワルシャワで開催開された、先進国と  途上国の利害がぶつかり合ったが「京都議定書第2約束期間」は採択された。
 I COP20・CMP10が2014(平成26)年、ペルー共和国のリマで開催された。COP20・CMP10 で草案を起草し、2015(平成27)年12月フランスのパリで開催されるCOP21で「意味ある合意」をまとめる総括文書が発表された。
 J 2015(平成27)年12月12日、フランスのパリで開催された。「COP21・CMP11」は、2020(平成32)年以降の地球温暖化対策の国際枠組みを採択して閉幕した。1997(平成9)年に京都議定書が採択されて以来以、18年ぶりの枠組みで、条約に参加する全ての国が取り組む初のルールとなった。

2 京都議定書締約国会議(COP) 
 COPは、1995(平成7)年、ドイツのベルリンで開催された第1回会議(OP1)以来、毎年開催されてきた。
 1997(平成9)年、世界各国の政府代表者が京都に集まり、第3回目となる(OP3)を開催した。この会議において採択されたのが、「京都議定書(国際条約)」である。
 COP1までは日本国内ではその重要性が認知されなかったが、COP1以降COP3に対する 国内の関心が高まっていった。
 (1)京都議定書が求めた温室効果ガス排出量削減目標
 京都議定書では、先進国各国の温室効果ガス排出量削減目標が定められた。これは、各国に具体的な削減を義務付けられたという意味において、国際的な温暖化対策としては極めて大き な一歩であったと考える。CO2等排出量削減目標は、2008(平成20)年〜2012(平成24)年までに、1990(平成2)年比で約5%削減すると定められた。
 国ごとにも CO2等排出量の削減目標を定められた。この取り決めにより、EU8%、アメリカ合衆国7%、日本6%の削減を約束した。
kyougi     一方、京都議定書は途上国には削減義務はなかった。これは、COPの「歴史的に排出してきた先進国が、最初に削減対策を行うべきである」という合意があったからである。これまで温暖化を引き起こしてきた先進国が率先して対策を講ずるべきだ、という考え方が反映されたためである。
 この京都議定書は、21世紀以降、地球温暖化問題に対し、人類が中長期的にどのように取り組んでいくのかという道筋の第一歩が定められたものとして高く評価された。
(2)京都議定書実施のルールの決定
 京都議定書の採択後、その実施に関わる詳細なルールについての交渉が行われてきた。その合意をする予定であった2000(平成12)年のCOP6では一度交渉が決裂した。さらに2001(平成13)年3月、アメリカが京都議定書体制からの離脱を宣言したことによって、京都議定書の危機が心配された。しかし、このことが逆にその他の国々の合意への意志を強める結果となった。2001(平成13)年、モロッコのマラケシュで開催されたCOP7において、アメリカ抜きでも京都議定書を生かすべきと京都議定書の運用ルール(マラケシュ合意)が採択された。
(3)京都議定書の発効と2013年以降の取り組み
 2004(平成16)年秋、ロシアが京都議定書を批准した。ロシアが京都議定書を批准したことにより、京都議定書の約束がいよいよ確実に達成しなければならない国際公約になったことを示すとともに、もう1つ、重要な意味を持つことになった。それは「2013年以降」に関する交渉の開始であった。
 京都議定書でのCO2等排出量削減目標は、2008(平成20)〜2012(平成24)年の第1約束期間と呼ばれる期間を対象にしたもので、2013(平成25)年以降の取り組みについては、何も決まっておらず、白紙の状態であったからである。
(4)京都議定書の意義
 京都議定書の意義について、近年、否定的な意見や批判が多くなった。CO2等の排出量削減が「不十分であった」とか「失敗であった」などの意見である。議定書の基準年である1990(平成2)年と比較して、世界全体のCO2等の排出量は増加してしまったからでもある。その意味ではCOP3は気候変動対策としては不十分であったと言える。しかし、「失敗であった」とは言えないと考える。京都議定書の下で各国がCO2等の排出量削減に取り組みを開始していなければ、排出量はより大量になっていたと考えるからである。
 京都議定書は、世界で初めて、CO2等の排出量を国別で管理し、削減していく仕組みを作り、削減を促したという意味で、京都議定書の意義は大きかったと考える。
(5)太平洋・島嶼サミット「気候変動・開発フォーラム」
 2015(平成27)年5月、東京で第7回太平洋・島嶼サミット「気候変動・開発フォーラム」が開催された。気候変動の影響に脆弱な太平洋島嶼国における気候変動資金の効果的な活用に関して理解を深めるとともに、海水面の上昇に伴う被害防止策を講ずるためである。

3 パリで開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議
 2015年11月30日から、フランス・パリで開催されていたCOP21が、現地時間の12月12日、2020(平成32)年以降の温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を正式に採択して閉幕した。1997(平成9)年に採択された京都議定書以来18年ぶりの枠組みである。条約に参加する全ての国が取り組む初めてのルールが決定したことになる。  
kyougi     (1)「パリ協定」の内容  各国が国連に提出したCO2等の自主削減目標の達成義務化は見送られたが、産業革命前からの気温上昇について、「2℃を十分下回る」と掲げ、さらに1.5℃に向けで努力をすることになった。
 条約加盟196か国・地域の全ての国が、排出量削減目標を国連に提出し、達成のための国内対策が義務付けられた。日本の削減目標は2030年までに2005年比で25.4%である。
   目標は5年ごとの見直しによって改善していくことも求められた。
 先進国は支援を必要な国へ、資金を提供していくことや、温暖化によって影響を受け、損失や被害を受けてしまう国々への支援をするための新しい仕組みも盛り込まれた。また、温暖化の影響によって、損失と被害が発生した国々への救済を行うための国際的な仕組みの整備や被害を軽減するための世界目標も設定された。
(2)「京都議定書」から「パリ協定」へ
 京都議定書では先進国だけにCO2等の削減を義務付け、実効性に乏しかった。また、採択以降温暖化の国際交渉は「削減に取り組む先進国」「支援を受ける途上国」という二分論に支配されてきた。CO2等を大量に排出してきた先進国に責任があることは明らかであるが、いまや途上国の排出量が世界の上位を占めるまでになった。先進国だけに責任を押しつけるだけでは、温暖化を食い止めることはできない。パリ協定は、この障害を乗り越え、条約に参加する全ての国が地球温暖化対策に取り組むことに合意した。世界全体の温暖化対策を、今後継続的に、強化し続けていく方向が明確に示されたことになり、画期的な国際合意であったと考える。
 
 4 「京都議定書」「パリ協定」を環境教育に生かす取組   
 地球温暖化は、様々な地球環境問題のなかでもその影響のスケールが最も大きく、 最もさし迫った問題である。世界の科学者は、地球温暖化が2100年になって起こる未来の問題ではなく、すでに始まっている現実の問題であると警告している。
kyougi     地球温暖化問題は、世界の全ての国が一体となって取り組まなければ、解決のできない問題である。COP1〜21の国際交渉の場で議論され、締結されてきたことに基づいて各国は協調して地球温暖化問題に取り組んでいくことが最も重要である。
 一方、学校教育においては、「京都議定書」や「パリ協定」を踏まえた環境教育に取り組むことが必要である。
(1)学校における環境教育
 環境教育は、小学校・中学校及び高等学校といった学校段階、児童生徒の発達段階を考慮して、適切に行われる必要がある。
   したがって、各学校において環境教育に関する全体的な計画を作成しなければならない。しかし、「環境科」という独立した教科がないため、学校現場においては、環境教育の重要性を認識していながらも、具体的なカリキュラムの中でどのように扱ったらよいか、迷っている現状もある。 
 2008(平成20)年度に改訂された学習指導要領では、各教科において、環境教育に関連する内容が一層重視された。それは、環境教育のねらいが「人間活動と環境との関係についての理解と認識をもち、環境に配慮した生活や行動ができるようにする」、「環境問題を解決するために必要な人間としての資質や行動力を養う」など、学校教育が目標としている人間教育そのものと一致するからである。 
 学校では、各教科、総合的な学習の時間等における環境に関する指導内容を明確にし、それらを断片的に指導するのではなく、まとまった単元として構成し、横断的・総合的な課題についての学習活動を進めることが重要である。特に、COP21において、2020(平成32)年以降の温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を正式に採択されたことを踏まえた環境教育の取組が必要である。
(2)地球規模で拡大している環境問題についての理解
 知識基盤社会において、地球温暖化によって引き起こされている問題を自らの問題として捉えることが最も重要である。特に、地球規模での環境の変化を正しく理解することが必要である。それらを踏まえて、地域、学校、個人で何ができるかを明確に捉え、その上に立って具体的な取組を通して、自らのライフスタイルを変革していかなければならない。
(3)地球温暖化に伴う問題
 天然資源やエネルギー資源を大量に消費して豊かな生活を享受してきた結果、CO2等の濃度の上昇による地球温暖化とそれに伴う異常気象や海水面の上昇、オゾン層の破壊、酸性雨、熱帯林の減少、砂漠化、野生生物種の減少、海洋汚染、有害廃棄物の越境移動、開発途上国の環境問題などが、国境を越え、地球的規模で拡大し深刻化している。授業においては、最重要課題である地球温暖化について、取り上げることが必要であると考える。
 @ CO2等の濃度の上昇
 CO2等の大気中濃度は、産業革命(750?1800年)前は、比較的一定の水準であったった。しかし、産業革命以後は著しく増加した。産業革命から1994(平成6年)までにCO2濃度は約280ppm(注7)から358ppmに上昇した。CO2等の濃度は、特に最近20?30年に著しく増加している。
 A 地球温暖化と気温上昇
kyougi     左のグラフは、縦軸(気温平均差)が、1971年〜2000年の30年間の平均気温を0として、各年の平均気温を+−で示したものである。グラフ赤は、5年間の移動平均を表し、グラフ緑は各年の長期的傾向を直線で表している。
 地球全体の年平均気温は、1906〜2005(平成8〜平成17)年までの100年間で0.74℃上昇した。
 
 一方、日本の年平均気温は、19世紀末から21世紀初めにかけては100年間当たり、約1.14度のペースで上昇した。21世紀半ばごろまでCO2等の排出量が増え続けた場合、21世紀末(2076〜95年)までには、20世紀末よりさらに2.5〜3.5℃上昇すると予想されている。
 パリ協定で、産業革命前からの気温上昇について、「2℃を十分下回る」と掲げ、さらに「1.5℃に向けで努力」をするとしたのも、産業革命時代頃に遡って、気温上昇をストップしなければ、いろいろな環境問題がさらに拡大すると捉えたからである。
 B 異常気象や海水面の上昇
 海面の上昇と異常気象によって、沿岸地域における洪水、高潮の被害を増やすおそれがある。海面が50cm上昇した場合、適切な対策がとられなければ、高潮被害を受けやすい世界の人口は、現在の約4600万人から約9200万人に増加すると予測されている。
 海面上昇によって水没が懸念されるツバルをはじめ、太平洋島嶼国における気候変動の影響と、それに対処するための国際的な支援策について理解を深めていかなければならない。
  地球全体の海水面は過去100年間に10〜25p上昇した。この大部分が気温の上昇と関連していると考えられている。今後100年間で全地球の平均地上気温は約3.5℃上昇し、海面水位はさらに約70cm上昇すると予想されている。
 C グリーンランドの海水面の温度上昇 
 温暖化により温度が上昇した海水は膨張し、海面は上昇する。現在、グリーンランド付近などでは、海水面を覆うが氷山等によって海水面は冷却されている。そのため海水面の海水は深海に沈み込んで、表層と深層の対流がつくり出されている。
kyougi     表層と深層の海水の循環が起きないと、深層では酸素の供給がなく、無酸素状態のヘドロのようなものがたまっていく。表層では深層からの栄養塩の供給が少なくなり、プランクトン等の生物の成育にも悪影響が出ると考えられる。また、海水の温度が上昇すると、海水中に溶け込むCO2の量も減る。
  (4)具体的な活動「緑のカーテン」作り
kyougi     緑のカーテンは、植物を建築物の外側に生育させることにより、建築物の温度上昇抑制を図る省エネルギーの手法である。緑のカーテンの効果としては、窓を覆うように設置されることによりカーテンとしての遮光のほかに、建築物外壁の蓄熱の軽減、植物の蒸散作用の祭に発生する気化熱による周囲の温度の抑制、植物の光合成による二酸化炭素の吸収による地球温暖化の緩和、酸性雨、紫外線、急激な温度変化による外壁の劣化の軽減、植物の観賞や果実の収穫なども期待されている。樹木などで日差しを防ぐことも緑のカーテンの効果がある。
 現在、緑のカーテンは小学校を中心に全国に普及している。これは気温を低下させCO2等の濃度を下げる環境効果だけでなく、学習効果や教室の改善効果が高く評価されているためである。
 最近は、緑のカーテンは学校だけではなく、企業や一般家庭でも試みられ、冷房による電力消費を抑える効果のある方法として注目されている。快適な夏を過ごせて、節電以外にもいろいろと役立っているからである。
 「緑のカーテン」の取組を契機に、地球温暖化への関心を高めていくとともに、他の環境問題への関心を高め、ライフスタイルを見直すことも期待されている。

 ◆ 注 釈
 注1 生物多様性条約締約国会議(COP):地球規模の広がりで生物多様性を考え、その保全を目指す国際条約である。
 注2 ラムサール条約国会議(COP):特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約
 注3 CMP:京都議定書締約国会議
 注4 ADP:全ての国に適用される2020年以降の新しい法的枠組み
 注5 AWG:気候変動枠組条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会
 注6 ロードマップ:具体的な達成目標を掲げた上で、目標達成の上でやらねばならないこと、困難なことを列挙し、優先順位を付けた上で達成までの大まかなスケジュール
 注7 ppm:二酸化炭素濃度を表す単位でppm1は、1m3の空気中にその物質が1p3含まれている。
 ◆ 参考文献
 1:環境省ホームペーシ環境白書(27年版、地球環境等)
 2:日本の気候変動とその影響27年版(文部科学省 環境省 気象庁 )
 3:これまでの国際交渉の経緯(NPO気候ネットワーク理事平田仁子)
 4:気候変動に関する政府間パネル(ウィキペデア)
 5:地球温暖化を巡る国際交渉(国立環境研究所公開シンポジウム2007
 6 京都議定書採択「気候変動枠組条約第3回締約国会議(地球環境研究センター)
 7:太平洋島嶼国の環境と支援を考える国際シンポジウム(外務省)
 8:読売新聞・朝日新聞・日本経済新聞
( 2016/02/08 記)  

以 上


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