提言96: 次世代の学校と地域の連携・協働の在り方を考えよう
平成28年1月25日、文部科学省(以下「文科省」という)は、学校と地域が一体となって地域創生に取り組むため、「次世代の学校・地域」創生プラン(以下「馳プラン」という)を策定し公表した。馳プランは、平成27年12月21日、中央教育審議会(以下「中教審」という)の3つの答申を踏まえて、その具体化を強力に推進するために策定された。
中教審の3つの答申は、下記の通りである。
@ 「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」(以下「答申1」という)
A 「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」(以下「答申2」という)
B 「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について〜学び合い、高め合う教員養成コミュニティの構築に向けて〜」(以下「答申3」という)
本提言では、主として答申1と「馳プラン」を踏まえ、「次世代の学校・地域」の在り方についての見解を述べてみたい。
1.中教審答申1の概要
答申1では、これからの教育改革や地方創生の動向を踏まえながら、学校と地域の連携・協働を一層推進していくための仕組みや方策を示した。
(1)答申1の理念
答申1の理念は、本答申の“はじめに”の中で、「未来を創り出す子供たちの成長のために、学校だけではなく、地域住民や保護者等も含め、国民一人一人が教育の当事者となり、社会総掛かりで教育の実現を図る」と記述されているように、次世代の教育は学校・地域が協働で創りあげることが重要である。
(2)答申1の全体構想
答申1の理念を実現するため、次世代の教育改革や地方創生の動向を踏まえながら、学校と地域の連携・協働を一層推進していくための仕組みや方策などについて、第1章〜第4章の項目で構成されている。
@ 第1章「時代の変化に伴う学校と地域の在り方について」では、学校と地域の「パートナーとしての連携・協働関係」への発展の必要性とともに、これからの学校と地域が目指す連携・協働の姿について示唆されている。学校においては、校長のマネジメントが問われると考える。教職員・地域の方々との具体化に取り組むことが重要である。
A 第2章「これからのコミュニティ・スクールの在り方と総合的な推進方策について」では、学校が抱える課題の解決を図り、子供たちの教育活動等を一層充実していく観点から、地域住民等と目標やビジョンを共有し、地域と一体となって子供たちを育む「地域とともにある学校」に転換していくための持続可能な仕組みとして、コミュニティ・スクールの意義・理念、仕組みの制度的な見直しや推進方策が強調されている。次世代のビジョンを明確に描く画期的なものと評価できる。
B 第3章「地域の教育力の向上と地域における学校との協働体制在り方について」では、より多くのより幅広い層の地域住民が学校との協働体制に参画し、子供たちの成長を地域で担うことを示唆するとともに、地域住民や団体等のネットワーク化等により、学校との協働活動を推進する「地域学校協働本部」の整備等について記述されている。
C 第4章「コミュニティ・スクールと地域学校協働本部の一体的・効果的な推進の在り方について」では、コミュニティ・スクールと「地域学校協働本部」が、両輪となって相乗効果を発揮していくための在り方が強調されている。早急に実現を図る必要がある。
2.現世代の学校・地域の状況と課題
高齢者人口の増加と生産年齢人口の急激な減少や、グローバル化の進展に伴う激しい国際環境の変化の中にあって、学校の抱える課題は著しく複雑化・多様化している。また、地域社会との繋がり・支え合いの希薄化、家庭の孤立など、様々な課題に直面している。
2014(平成26)年9月3日、内閣官房に、内閣総理大臣を本部長、地方創生担当大臣と内閣官房長官を副本部長とする、「まち・ひと・しごと創生本部」が設置された。これは、人口急減・超高齢者社会である我が国が直面する大きな課題に対し政府が一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活かした自立的で持続的な社会を創生できるよう、設けられたものである。これを踏まえ、文科省は「次期世代学校・地域」創成プラン一体改革の工程表」を作製し、具体的に示した。
(1)少子・超高齢社会
我が国は、世界でも類を見ない少子・超高齢社会に突入した。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、「日本の人口は、2000(平成12)年の国勢調査では1億2700万人前後で推移していたが、2020(平成32)年には1億2400万人、2030(平成42)年には1億1662万人、2050(平成62)年には1億人、2060(平成72)年には9000万人を割り込む」と予測されている。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」によると、 生産年齢人口(15〜64歳の人口)は2010年(平成22)年から減少を続け、2060(平成72年には3464万人となる。そうすると高齢化率は、50年後の2060(平成72)年には39.9%となり、5人に1人が65歳以上になることが見込まれている。
人口減少は地方から始まり、現在も拡大している。東京圏には、過度に人口が集中している。長時間通勤、住宅価格の高騰、待機児童問題等の様々な問題を抱えている。今後、東京オリンピックの開催や超高齢社会の進展により、人口流入が更に拡大する可能性が高い。このまま推移すると、「過密の東京圏」と「人口が極端に減った地方」が併存しながら人口減少が進行していく可能性が高い。地方に比べ出生率が低い東京圏に若い世代が集中することになり、日本全体としての人口減少に結び付いていくと考えることができる。
人口減少と超高齢化がさらに進むことにより、経済規模が縮小し、一人当たりの国民所得が低下する恐れがあり、経済社会にとって大きな重荷となる。また、既存の学校減少に繋がり、特に地域の崩壊に大きな影響を与えることになると考えられる。
地方の創生と人口減少の克服には、地域が現在抱える課題の解決のためのビジョンを明確にし、その実現を図ることが必要である。国の長期ビジョン(注1)では、2060(平成72)年に1億人程度の人口を確保する中長期展望を提示している。しかし、その実現には、地方への多様な支援と「切れ目」のない施策を講じていくことが重要である。
(2)グローバル化の進展に伴う国際環境の変化
グローバル化や情報化が進展する社会の中で、国際環境は激しく変化している。このような社会では、多様な主体が速いスピードで相互に影響し合い、1つの出来事が広範囲かつ複雑に伝播してきているため、先を見通すことが一層困難になっている。したがって、大量の情報の中から必要な情報を取捨選択したり、活用したりして、世界共通の価値観や世界規模の課題に対応する姿勢を育むことが必要である。
それには、情報の表現やコミュニケーションの効果的な手段としてコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用する能力が求められる。
一方、ネットワーク上の有害情報や悪意のある情報発信など、情報化の影の部分への対応が早急に求められている。このような状況の中で、情報や情報手段を適切に活用できる能力がすべての国民に必要となってきている。
情報手段を効果的に活用したり、多様な情報を結び付けたり、情報を共有するなどして、新たな知識や情報などの創造・発信や問題の解決に繋げていくことが重要である。
(3)学校の抱える課題の複雑化・多様化
学校における状況を見ると、依然としていじめや暴力行為等の問題行動の発生、不登校の子供の増加など、子供への多様な対応が必要な状況となっている。子供を取り巻く環境は複雑化・困難化を極めており、教員だけで対応することが、質的な面でも量的な面でも難しくなってきている。また、子供たちが自ら課題を発見し、解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習の充実など、授業革新を図っていくことも求められている。さらに、子供たちの規範意識等に関する課題に加え、学校が抱える課題は複雑化・困難化している
(4)地域社会の支え合いの希薄化、家庭の孤立
都市化や過疎化の進行、家族形態の変容、価値観やライフスタイルの多様化等を背景とした地域社会等の繋がりや支え合いの希薄化によって、「地域の学校」「地域で育てる子供」という考え方が次第に失われてきたように考えられる。
教育は、単に学校だけで行われるものではない。家庭や地域社会が、教育の場として十分な機能を発揮することなしに、子供たちの健やかな成長はあり得ない。家庭を巡る状況の変化や、地域社会の教育力の低下に伴い、子供の教育に関する当事者意識も失われていくことによって、学校に様々な課題や責任が課される事態になっていると考えられる。
3.「次世代の学校・地域」創生プランの目指す方向
地域の人々と目標やビジョンを共有し、地域と学校が一体となって子供たちを育む「地域とともにある学校」への転換を図っていくことが、今、最も重要な課題となっている。この課題解決には、公立学校がコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)になることを目指し、学校と地域との組織的・継続的な連携・協働体制を確立することが必要である。
馳プランには、「一億総活躍社会の実現と地方創生の推進には、学校と地域が相互にかかわり合い、学校を核として地域社会が活性化していくことが必要不可欠である」との考えに基づいて、中教審答申1〜3の内容を実現するため、「学校・地域それぞれの視点に立ち、次世代の学校・地域両者一体となった体系的な取組を進めていく」と明記されている。そして、このプランには、今後5年間の具体的な取組施策と改革工程表(前述)が、後掲の資料1・2で示されている。「次世代の学校・地域」創成プラン一体改革は、資料として添付した工程表に基づいて、「地域とともにある学校」への転換、学校を核としたまちづくり、地域で家庭を支援し子育てができる環境づくりなどを、それぞれの年度計画に基づいて、強力にしかも着実に推進していかなければならない。
4.次世代の学校創成
前述したように、地域社会の繋がりや支え合いの希薄化等によって、地域の教育力の低下、家庭教育の充実が指摘されている。また、学校が抱える課題は複雑・困難化が進展している。
このような状況下において、「社会に開かれた教育課程」を柱とする学習指導要領の改訂や、チームとしての学校、教員の資質能力の向上等、学校教育を巡る改革の方向性や地方創生の動向を踏まえて、「学校と地域の連携・協働」の一体改革を、着実に進めていかなければならない。特に、これからの厳しい時代を生き抜く力の育成、地域から信頼される学校づくり、社会的な教育基盤の構築等の観点から、学校と地域はパートナーとして相互に連携・協働していく必要がある。
馳プランには、次世代の学校創成について、「地域の人々と目標やビジョンを共有し、地域と一体となって子供たちを育む『地域とともにある学校』への転換を図るため、全ての公立学校がコミュニティ・スクールとなることを目指して取組を一層推進・加速し、学校と地域との組織的・継続的な連携・協働体制を確立する。」と記述されているように、次世代の学校は、地域住民等と目標やビジョンを共有し、地域と一体となって子供たちを育む「地域とともにある学校」への転換を図ることが何よりも重要なことと考える。
(1)地域とともにある学校への転換
学校は、地域社会の中でその役割を果たし、地域と共に発展していくことが重要である。そのためには、地域でどのような子供たちを育てるのか、何を実現していくのかという目標やビジョンを地域住民等と共有することが最も重要なことである。
学校運営に地域住民や保護者等が参画することによって、学校・家庭・地域の関係者が目標や課題を共有できるようにしなければならない。学校の教育方針の決定や教育活動の実践に、地域のニーズを的確に反映させるとともに、地域ならではの創意や工夫を生かした特色ある学校づくりを進めていくことが必要である。
開かれた学校から一歩踏み出し、地域の人々と目標やビジョンを共有し、地域と一体となって子供たちを育む「地域とともにある学校」に転換することが、今、求められていることである。
(2)コミュニティ・スクールの推進・加速
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2004(平成16)年度にコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)が導入され、2015(平成27)年4月現在2389校が指定された。
コミュニティ・スクールに類似する取組は、この3年間で約2000校増え、5135校になった。また、コミュニティ・スクールの増加だけでなく、地域住民や保護者等が学校運営や教育活動について協議し意見を述べる場が増えてきた。
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コミュニティ・スクールは、学校と保護者や地域が共に知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることによって、一緒に協働しながら子供たちの豊かな成長を支え「地域とともにある学校づくり」を進める仕組みである。
コミュニティ・スクールが、「地域とともにある学校」として機能し、転換していくためには、学校を応援する役割の明確化や教職員の任用に関する制度の柔軟化を図るとともに、教育委員会が積極的に学校運営協議会の設置に努め、学校と地域の連携・協働が促進されるよう制度の見直しを図ることが必要である。
(3)子供も大人も学び合い育ち合う教育体制の構築
地域の様々な機関や団体等がネットワーク化を図りながら、学校、家庭及び地域が相互に協力し、地域全体で学びを展開していく「子供も大人も学び合い育ち合う教育体制」を一体的・総合的な体制として構築していくことが重要である。それには、子供たちが抱えている課題の実態把握、地域で育てたい子供像、実現を目指す目標や・ビジョンなどを明確にするとともに、学校と地域の方々と共有することが重要である。
(4)義務教育学校の開設
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平成28年4月8日、読売新聞は、「義務教育学校22校開設」について報じた。その報道は、「小中一貫教育を行う『義務教育学校』が今月、13都道府県で22校開設されたことが7日、文科省の調査で分かった」とい内容である。平成27年6月に成立した「改正学校教育法」で認められた新しい学校制度で、子供たちは9年間一貫の教育課程で学ぶことができ、中学校進学時に不登校が増える、いわゆる「中1ギャップ」の解消も期待されている。「地域とともにある学校」として、充実した教育活動を図ってほしいものである。
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これに対して、改正学校教育法と同じ新制度として認められた「小中一貫型小学校・中学校」も、義務教育学校と同様に柔軟な教育課程を組めることを最大限に生かして、「地域とともにある学校」として、地域に根ざした教育活動を地域住民とともに、推進することを期待して止まない。
(5)社会に開かれた教育課程
「地域とともにある学校」として、現在「コミュニティ・スクール」、「義務教育学校」、「小中一貫型小学校・中学校」などが設立されているが、今後も設立が推進・加速されていくに違いない。中教審による「次期学習指導要領の告示」が待たれる。
課題の発見・解決に向けて主体的・協同的に学ぶ学習、いわゆる「アクティブ・ラーニング」の充実、「道徳の教科化」、小学校高学年からの「英語の教科化 」、「専門性に基づくチーム体制の構築」などである。また、高校の学習内容も大学入試の抜本的改革を視野に大幅に改定され、地歴や理数などの分野で新科目が設けられる見通しである。早急に取り組まなければならない課題が山積している。これらの解決を図るには多大な費用が必要となる。したがって、財務省が掲げている「児童生徒数の減少に伴う予算の縮小」等は、極めて不当な扱いと言わざるを得ない。教育の根本は「教育」である。文科省の一層の奮起を望むものである。
学習・指導方法を教育内容と関連付けた具体化の方策など、「社会に開かれた教育課程」の実現や学校の指導体制の質・量両面での充実を図り、「地域とともにある学校」への転換を目指していかなければならない。地域には、次代の郷土をつくる人材の育成、学校を核としたまちづくり、地域で家庭を支援し子育てできる環境づくり、学び合いを通じた社会を創成の必要なことを、互いに肝に銘じ地域の学校創造の実現を図っていかなければならない。
(6)教員制度の養成・採用・研修の一体改革
「社会に開かれた教育課程」の視点に立ち、改訂か検討されている次期学習指導要領を着実に実施する環境の整備とともに、大量退職・大量採用を背景とした若手教員への知識・技能の伝承の停滞を克服するため、養成・採用・研修の一体改革も進めなければならない。
義務教育学校は校長が1人で、教員組織も小中で区別がなく、スムーズな運営が可能である。しかし、教員は原則小中両方の免許を持つ必要があるなど、設置条件がコミュニティ・スクールよりも厳しい。このような状況を踏まえ、教員制度の養成・採用・研修の一体改革を、早急に進めることが急務である。
(7)学校の組織運営改革
複雑化・多様化する学校の課題への対応や、子供たちに必要な資質・能力の育成のための教職員の指導体制の充実には、学校において教員が心理や福祉等の専門スタッフと連携・分担する体制の整備、学校のマネジメント機能の強化による学校の教育力・組織力を向上させ、学校が多様な人々と繋がりを保ちながら学ぶ場を構築しなければならない。
5.次世代の地域創成
学校と地域の連携は、教育改革の柱の一つとして推進されてきた。2000(平成12)年には、学校運営に関する保護者や地域住民の意見を聴くための制度として「学校評議員制度」、2004(平成16)年には、保護者や地域の住民が一定の権限と責任を持って学校運営に参画する制度としてコミュニティ・スクールが導入された。また、2007(平成19)年には学校評価が学校の責務として学校教育法に位置づけられるなど、これまでに学校が地域に開かれた信頼される存在となるための一連の制度改正が行われてきた。さらに、2011(平成23)年、「子どもの豊かな学びを創造し、地域の絆をつなぐ〜地域とともにある学校づくりの推進方策〜」がとりまとめられた。今後、全ての学校が、小・中学校の連携・接続に留意しながら、地域の人々と目標を共有し、地域の人々と一体となって子どもたちを育んでいく「地域とともにある学校を目指すべき」とされたことの意義を、住民一人一人がしっかりと認識することが必要である。
馳プランでは、次世代の地域創成について、「地域と学校の連携・協働の下、幅広い地域住民等が参画し、地域全体で学び合い未来を担う子供たちの成長を支え合う地域をつくる活動を全国的に推進し、安心して子育てできる環境を整備することにより、次世代の地域創生の基盤をつくる。」と記述されている。したがって、従来の学校支援地域本部や放課後子供教室等を基盤として、「支援」から「連携・協働」、「総合化・ネットワーク化」を目指していくことが重要であると考える。
馳プランでは、地域学校協働活動を推進するための新たな体制として、「地域学校協働本部(仮称)」を整備する必要があるとしているが、「地域学校協働本部(仮称)」が取り組む内容や、その下に整備されるべき組織体制が、今一つ明らかになっていない。
(1)地域学校協働活動の推進
地域学校協働活動を持続的に推進し、その成果を上げるには、教育委員会の支援が必要である。
教育委員会は地域学校協働活動を推進するための体制の整備や、地域学校協働活動を推進するための人材(統括コーディネーター)の役割等を、法律上明確化することが必要である。その上に立って、郷土学習、体験活動、地域行事、学びによるまちづくりなどの活動に幅広い地域住民等が参画するとともに、そうした活動が学校や社会教育施設など地域の多様な場で行われるよう、地域学校協働活動の推進を支援していかなければならない。
(2)学校を核とした地域づくりの推進
地方創生の観点から、学校を核とした連携・協働の取組によって、子供たちに地域への愛着や誇りを育み、地域の将来を担う人材の育成を図ることが重要である。また、地域住民相互の連携を深めるとともに、自立した地域社会の基盤の構築・活性化を図る「学校を核とした地域づくり」を推進していくことが必要である。学校が「地域の宝」として、地域の人々の誇りになってこそ、「地域と学校の連携・協働」が創成されたと考えるからである。
成熟した地域が創られていくことは、子供たちの豊かな成長にも繋がっていく。また、地域住民が学校を核とした連携・協働の取組に参画することにより、高齢者も含めた住民一人一人の活躍の場が創出され、まちに活力を生み出すことができる。
地域と学校が協働し、安心して子供たちを育てられる環境を整備することは、その地域自体の魅力となり、地域に若い世代を呼び込み、地方創生の実現に繋がると考えられる。
子供の育ちを軸として、学校と地域がパートナーとして連携・協働し、意見を出し合い、学び合う中で、地域が成熟化していく取組を創り上げることが重要である。
「次世代の学校・地域」創成は、学校と地域が車の両輪として、課題を克服していく取組が何よりも重要で不可欠なことである。
(3)「地域とともにある学校」と地域との関係
少子化の進んだ地域においては、小中一貫教育を推進する環境が整いやすいと考える。小中連携、一貫教育の導入を図る場合には、各地域において、地域の実情に応じた義務教育期間9年間の在り方について検討していく必要がある。
児童生徒の義務教育9年間におけるよりよい学びの実現や生徒指導上の様々な課題の解決のためには、小中連携、一貫教育と地域連携に併せて取り組むことによって、大きな効果が期待できると考えるからである。
今後、全ての学校が、小・中学校の連携・接続に留意しながら、地域の人々と目標(子ども像)を共有し、地域の人々と一体となって子どもたちを育むことによって、「地域とともにある学校」が創られたと言うことができる。
(4)地域が学校のパートナーとなるための改革
地域学校協働本部の組織とその内容を早急に明らかにするとともに、整備し、学校との連絡調整を担当する人材の配置と促進を図ることが必要である。
地域学校協働活動を推進するための学校開放や学校の多面的な活用を促進させ、地域が学校のパートナーとして子供の教育に関わる体制を整備することが急務である。教員が子供と向き合う時間を確保できるようにするとともに、次代の郷土をつくる人材の育成や持続可能な地域の創生を実現していかなければならない。
◇ 注 釈
注1 人口減少問題の克服:地方創生の推進について(平成27年1月9日 地方創成担当大臣 石破 茂)
◇ 参考文献
1 「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」
2 チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について
3 「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について〜学び合い、高め合う教員養成コミュニティの構築に向けて〜」
4 読売新聞・朝日新聞・産経新聞
◇ 資 料
1 文科省「次世代の学校」創成プランの一体改革工程表@
2 文科省「次世代の学校」創成プランの一体改革工程表A
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